風洞実験の概要

風洞実験とは?

「風洞実験」と一口に言っても、その目的や分野は多岐にわたります。
ここでは、当社が手がけた風洞の中で最も多い建築分野において、実験の内容につきましてご説明致します。

私たちを取り巻く生活空間には、私たち「人間」の手によって大規模な建築物が次々と作り出されています。便利で豊になった反面、それらの建築物は周囲の環境にも何らかの影響を及ぼし、また、建築物自らが環境の影響を大いに受けています。
なかでも「風」という環境要素は、今日、最優先するべき課題のひとつと言えます。大規模建築物を創造できる人間にも、自然風を止める事はできません。「建築物」と「風」、お互いが調和して優しく作用しあうよう、「建築物」を考えて行かねばなりません。「風と建築物の調和」というテーマを具体的に検証する手法として、現在、最も用いられているのが風洞実験なのです。
ビル
風洞は、風路と呼ばれる筒と、風を発生させる送風機で構成されます。送風機で発生した風は、いくつかのフィルターを経て、自然風を模擬した風となって計測部に達します。計測部には、建築物と周囲の市街地や地形を再現した模型が配置され、風によって起こる現象を、模型内部や、模型取付器具に組み込まれた各種センサーで捉えます。計測されたデータは、解析、評価され、各対応策へとフィードバックされていきます。

風洞実験で捉える事

風環境

特に高層建築物は、いわゆる「ビル風」と言う風害を周囲にもたらします。周辺家屋に対して庇や屋根瓦の飛散などの影響、風切音の発生、自動車の転倒や歩行の妨げなど、近年、ビル風はより深刻な問題となっています。風洞実験では、新しい高層建築物が起こすビル風、それらを緩和する建築物の形状や周囲の植栽など、いくつもの条件で繰り返し検証されます。

耐風設計

建築物が風から受ける荷重は、建築物の大きさ、高さ、場所等により変化します。建築物の構造や外装材の強度をどの程度とすればよいのか、風洞実験で得られたデータが設計の指針となります。

居住性

高層建築物は、風によって振動を起こす事があります。建築物の快適な居住性を確保するために、色々な形状の模型を用意し、揺れ方やその頻度を検証します。

風洞実験

風洞装置の構成や送風形式の違いなど、基本的な内容を解説致します。

1.風洞の構成

風洞の構成

エッフェル型風洞の基本的な構成です。この構成は風洞が大きくても小さくても変わりません。(トラバースやターンテーブルはオプションです)

2.風路形式の違い

風路形式の違い

エッフェル型風洞

戻り風路を持たない、省スペースで低コストな風洞です。気流は室内を還流します。

ゲッチンゲン型風洞

風路が閉ループ状になっており、安定した気流で理想的な測定環境が実現できます。

エッフェル型風洞実例紹介

京都大学多機能風洞システム

多くの実験装置と構造物応答シミュレータを備えた高性能風洞装置です。
測定胴の壁面を総アクリル樹脂板とし、胴内の視認性と美観を兼ね備えています。

風洞装置-京都大学多機能風洞システム

ゲッチンゲン型風洞実例紹介

産業安全研究所施工環境シミュレータ

建設現場の設備や作業者に対する風の影響を模擬する風洞です。
実物大作業足場などの、大型試験体を対象とした、第二測定胴を持つことが特徴です。

産業安全研究所_施工環境シミュレータ

3.送風機選び

送風機には大きく分けて、軸流型と遠心型(シロッコ型)の2種類があります。

送風機の種類

軸流送風機

大風量(高風速)に適した送風機です。エッフェル、ゲッチンゲン両風路形式に対応し、回転翼の仰角を調整可能な機種等もあり、広範囲な用途を持ちます。

遠心送風機

構造上ゲッチンゲン型風洞には不向きですが、省スペースで設置でき、軸流に比べ低コストな送風機です。エッフェル型の小型風洞や、比較的低風量(低風速)な風洞に用いられます。

4.気流精度

整流部の構成
気流精度は、最大風速と並んで風洞の性能を表す重要な指標です。(気流精度は「風速分布」「乱れの強さ」で表されます)
気流精度を確保するため、風路には拡散胴、整流胴、縮流胴が設けられます。

拡散胴

送風機で発生した気流を、整流胴の大きさへ広げ、同時に減速させます。拡散角度が急な場合は、メッシュで抵抗を加えて調整します。

整流胴

数枚のメッシュで風速分布と乱れを整え、ハニカム旋回成分を低減させます。

縮流胴

整流された気流を圧縮し、風速を必要な値に増速します。気流断面が小さくなることにより、上流での風速分布は更に一様に、乱れは更に小さくなります。

5.実験を補う機器

風洞実験に必要なものとして、模型や各種センサー類はもとより、必要に応じて、様々な風洞付帯装置が用いられます。

外装型4軸トラバース装置

外装型4軸トラバース装置

測定センサーを遠隔操作で任意の位置へ精密移動させる装置です。工業用コンピュータ等で制御し、計測用ソフトウェアとの連携、プログラム運転も可能です。
小型の風洞用に、モーターレス(手動ハンドル式)もあります。

 

内装型2軸トラバース装置

内装型2軸トラバース装置

測定センサーを手動、または遠隔操作で任意の位置へ精密移動させる装置です。遠隔操作の場合、4軸トラバース同様、多様な方式での運転制御が可能です。

 

ターンテーブル装置

ターンテーブル装置

主に建築実験用の円盤型模型を遠隔操作で精密旋回させる装置です。工業用コンピュータ等で制御し、計測用ソフトウェアとの連携、プログラム運転も可能です。

 

バネ支持装置

バネ支持装置

振動実験時、主に橋梁模型や翼型模型等を測定風路内両壁よりバネ支持する天秤です。模型を支持したままで精密旋回(仰り方向)が可能です。工業用コンピュータ等で制御し、計測用ソフトウェアとの連携、プログラム運転も可能です。

 

振動天秤装置

振動天秤装置

振動実験時、主に建物模型や基本形状模型を床面からバネ支持する天秤です。手動旋回または、ターンテーブル装置と連動旋回が可能です。また、風洞の振動から縁切りする為、コンクリートマス(重量架台)と併用することもあります。

6.風工房の出来ること

以上、風洞装置や付帯装置の概要を説明致しましたが、 実際に思わしい性能を発揮する風洞を計画するには、工学的な考証はもとより、多くの経験を要します。
風工房では、お客様のニーズを十分に踏まえた、納得の頂ける風洞計画をご提案致します。
そしてこれまでの納入実績の経験から、法則や計算値では導き出せないもう一工夫を加えた、“快適な風洞実験″をご提供致します。

製品案内カタログ

回流式境界層風洞

吹出式境界層風洞

温度成層風洞

風雪実験風洞

火災実験風洞

小型風洞

振動天秤装置

チュービング較正器

※製品案内をご覧頂くためには Adobe Reader が必要です。